言葉の引き出し
脳の中には「言葉の引き出し」がある!?
脳の中に1つのボックスがあるとイメージしてください。ここには、自分が今まで見たり聞いたり使ったことのある言葉が全部入っていて、話をするときはここから1つずつ言葉を選んでいます。
例えば、道で知り合いに出会ったら「おはようございます」「こんにちは」などと挨拶しますよね。
この「おはようございます」「こんにちは」という言葉は自分の脳にある言葉ボックスに入っていて、私たちは知り合いを見た瞬間に、ここから言葉を選んで口にしているのです。
この言葉ボックスは、学習机のように4つ程度の引き出しに分かれています。
皆さんが子どもの頃に使っていた学習机や、お子さんの学習机を思い出してみてください。
学習机の一番上の引き出しには何が入っていましたか?
たぶん、一番よく使う筆記用具が入っていたのではないかと思います。
では、二段目、三段目、さらには一番下の引き出しには何が入っていたでしょうか?
一番下の引き出しに何が入っていたかは思い出せない人が多いかもしれません。
引き出しの下に行くにつれて、きっとあまり使わないものが入っていたはずです。
言葉ボックスも同じです。
言葉ボックスの引き出しの一番上には自分が普段よく使う言葉が入っています。
そして一番下の引き出しには、めったに使わない言葉が入っています。
学習机と同じで、引き出しの上に入っている言葉ほど瞬時に出しやすいため、普段よく使う言葉は一番上にどんどんストックされていくのです。
一番上の引き出しに入っている言葉が口癖になる
私たちが脳の中から言葉を取り出すのは、あっという間です。人は見たり聞いたりした時、0.4秒後には何らかの言葉が出てくるとされています。
この一瞬のうちに出やすい言葉が、普段からよく使っている言葉です。
お子さんがプラスの言葉を口癖にしていると引き出しの一番上にいい言葉がストックされ、発する言葉も「ありがとう」「嬉しい」「楽しい」といった前向きな言葉がたくさん出てきます。
しかし、マイナスの言葉ばかり使い、マイナスの言葉が引き出しの一番上に口癖としてストックされると、自分が言おうと思っていなくても「面倒くさい」「イヤだな」「つまらない」という言葉がすぐに出てきてしまいます。
これが、言葉におけるプラスのスパイラルとマイナスのスパイラルです。
もちろん、これは一人一人の頭の中だけではなく、集団にも当てはまります。
学校で子どもたちがお互いにマイナスの言葉ばかり使っていると、クラス中がイヤな言葉で溢れてしまいます。
反対に、子どもたちがお互いにプラスの言葉を使っていれば、優しい言葉を掛け合える、団結力の高いポジティブなクラスになります。
家庭でも同じです。
お母さんがいい言葉をたくさん使っていると、優しい言葉があふれる家庭になります。
これば言葉の引き出しの考え方です。
使う言葉によって脳と体に影響する
自分が言った言葉を最初に聞くのは誰だと思いますか?自分自身です。
自分が言葉を話すと、まず自分の耳に入ります。
その言葉はさらに脳に入り、自律神経に伝わります。
自律神経にそれが伝わると、それによって私たちの感情や思考、行動は大きく影響を受けると言われています。
「嬉しい」「楽しい」といったプラスの言葉を使うとわくわくした気持ちになり、思考や行動も前向きにエンジンがかかります。
「面倒くさい」「疲れた」といったマイナスの言葉を使うと、どんよりした気持ちになり、思考や行動も後ろ向きにしぼんでいくのです。
ちなみに、私たちは一日にどれくらいの言葉を使っていると思いますか?
個人差はありますが、大人の男性が15000~20000語、女性が20000~30000語と言われています。
つまり、私たちは一日の間にこんなにたくさんの言葉を、脳にある言葉の引き出しから選んで使っているのです。
言葉を使うたびにその言葉に合った一連の反応が自分の中で起こっていると想像すると、当然いい言葉を使っていい影響を自分に与えたいですよね。

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