上手な叱り方
子どもを叱ることは、社会適応に必要な知識やスキルを教えるために必要な事であり、罰を与えて子どもの行動をコントロールするために行うものではありません。
子育てにおいて、上手に叱るというのは、上手にほめることよりも難しいことです。
特に子どもが言うことを聞かない時や癇癪を起しているときは、親もイライラしてしまって、感情的な対応をしてしまうこともあるでしょう。
では、子どもと繋がるためには、どのような叱り方をしたらよいのでしょうか。
次の4つのポイントが大切です。
ほめる時と本質的に共通する部分が多く感じられると思います。
もちろん、道路に飛び出しそうになるなどの危険な状況では「ダメ!」と言うこともやむを得ません。
ただ、そのような緊急事態でない限り、子どもに否定的な言葉を浴びせないようにすることが大切です。
子どもは「ダメ」「やめて」「違う」といった言葉を聞き続けると、脳が脅威を感じて戦闘モードに入りフラストレーションが爆発しやすい状況になります。
反対に、子どもの気持ちや意思を受け容れたうえで声をかけた場合は、脳が戦闘モードに入るのを防ぐことができ、反発せずに自分や他人の気持ちに寄り添う柔軟性が生まれます。
肯定の言葉(「そうだったのね」「わかるよ」など)から始めるというのは、叱らずに野放しにする、子どものわがままを丸呑みするという意味ではありません。
まず、「ダメ!」と口走る前に、子どもが何をしたかったのか、何を言いたかったのかを理解し、ありのままの子どもを受け容れたうえで手を差し伸べるということです。
例えば、幼児がタンスの洋服を片っ端から引っ張り出して遊んでいるとします。
「ダメダメ!何しているの!」と否定から始める代わりに、「そっか!洋服を引っ張り出したかったのね!」とまず気持ちを肯定し、「このお洋服はこの引き出しにしまうから、終わったら一緒に片付けようね」と声掛けをしてみましょう。
人中心の批判とは、子どもの性格、能力、あるいは外見の欠点や短所を責める叱り方のことです。
一方で、過程や手法中心の声かけとは、結果に至るまでの努力ややり方に対してネガティブな評価なしに具体的にフィードバックを与えることです。
子どもは能力ややり方を否定されると、自分には力が足りないからどうせ出来ないという無力感を覚えるようになり、次は成功しようという意欲をなくしてしまいがちです。
例えば、子どもがテストで40点を取ってきたとします。
「40点しか取れないなんて、ひどいわね。頭が悪い!」と非難する代わりに、「40点だったのね。自分の目標には届かなかったみたいだね。次はどういうやり方をしたらもっと学べるようになるかな?」というような声掛けをしてあげましょう。
子どもに、自分がとった行動が、子ども自身あるいは他者にいかに影響を与えるかというモラルに焦点を置きながら、具体的に説明することで、子どもの理解を得ようとする方法です。
罰を与える、あるいは一方的な叱り方をした場合、子どもの意識はいかに罰を逃れるかというkとに向くため、自分の誤った行動を振り返る機会がありません。
一方で具体的な理由で説明された場合、自分の行動と結果の因果関係を初めて理解するようになるほか、他者への影響を指摘することで相手を思いやる気持ちが生まれるのです。
例えば、子どもがスーパーで走り出したとします。
つい「危ない!ダメだよ!」と口走りそうですが、代わりに「走るとぶつかったりして、あなただけじゃなく、他の人もケガするかもしれないから、ここは一緒に歩こうね」というような声掛けをしてあげましょう。
例えば、外出前にスムーズに支度をしてくれない子どもに対して、「朝、時間通りにお家を出られたら、私は安心するんだけどな。遅刻すると教室の邪魔になるから、次からは時間通りにお家を出られるように一緒に頑張ってみようか」というように伝えます。
親自身が自分の気持ちを正直に提示し開放することは、子どもが相手の感情を思いやるきっかけとなり、円滑な人間関係を築く力が身につくといわれています。
反対に、「あなた」という相手が中心のコミュニケーション方法は、「あなたメッセージ」といいます。
「あなたメッセージ」は人中心の批判と同じように、受け手側は「責められた」と感じやすく、攻撃的になったり、言い訳をしたりと、自己防衛の反応をとりやすくなります。
この結果、建設的な話し合いができるチャンスが減少し、人間関係もギクシャクしやすくなります。
「わたしメッセージ」の作り方
効果的な「わたしメッセージ」の4要素は次の4つです。
行動+感情+影響+提案
行動
非難や否定の言葉を使わずに、子どもの行動を客観的に描写する。
×「弟を蹴るなんてひどいね」「どうして蹴ることしかできないの!」
〇「おもちゃの取り合いになって、弟のことを蹴ったのね」
感情
正直に自分あるいは関わった人がどう感じたかを伝える。
×「うるさい!」「やめなさい!」
〇「蹴ったりするのを見ると、ママはとても悲しい気持ちになるよ」「蹴られたときに、弟が泣いて落ち込んでいたよ」
影響
なぜその行動に問題があるのかを、自分あるいは関わった人に与える影響を例に説明する。
〇「ケンカをして椅子が壊れたから、もう使えなくなって困った」「蹴られて、弟は落ち込んでずっと泣いちゃってたよ」
提案
次はどうしたら同じ出来事を回避できるかについて解決策を話し合う。
×「今度また弟のことを蹴ったら、お小遣い取り上げるからね」
〇「暴力を使わずにおもちゃを2人で使う方法をみんなで一緒に考えよう」
注意点
ネガティブな気持ちだけでなく、ポジティブな気持ちも共有してみましょう。
「わたしメッセージ」は叱るときだけでなく、ポジティブな気持ちを共有する時にも使えます。
「お皿を下げてくれて、助かったし、嬉しかったよ」など。
大人はつい子どもの「ダメ」なところに目が行きがちですが、喜びや嬉しい気持ちも積極的に共有してみることも大切です。
行動を描写する時に、「ひどい子ね」「意地悪な子ね」「言うことを全然聞かない子ね」というような批判的あるいは否定的なレッテルを子どもに貼らないようにしましょう。
また、「わたしメッセージ」と見せかけた「あなたメッセージ」を送らないようにしましょう。
例えば、「いつもあなたが宿題をやらないでダラダラしているせいで(あなたメッセージ)、ママはイライラしちゃうよ(わたしメッセージ)」は、一見「わたしメッセージ」のように見えますが、実は子どもの行動を批判する「あなたメッセージ」なのです。
子育てにおいて、上手に叱るというのは、上手にほめることよりも難しいことです。
特に子どもが言うことを聞かない時や癇癪を起しているときは、親もイライラしてしまって、感情的な対応をしてしまうこともあるでしょう。
では、子どもと繋がるためには、どのような叱り方をしたらよいのでしょうか。
次の4つのポイントが大切です。
ほめる時と本質的に共通する部分が多く感じられると思います。
叱り方4箇条
・「ダメ!」「違う!」を出来るだけ使わない
・結果ではなく努力やプロセスに目を向ける
・好ましくない行動の理由を説明する
・親の気持ちを正直に伝える
「ダメ!」「違う!」を出来るだけ使わない
子どもに対して、つい「それダメ!」「これダメ!」「違う!」「やめて!」と否定的な言葉を使って叱ることが口癖になっていませんか。もちろん、道路に飛び出しそうになるなどの危険な状況では「ダメ!」と言うこともやむを得ません。
ただ、そのような緊急事態でない限り、子どもに否定的な言葉を浴びせないようにすることが大切です。
子どもは「ダメ」「やめて」「違う」といった言葉を聞き続けると、脳が脅威を感じて戦闘モードに入りフラストレーションが爆発しやすい状況になります。
反対に、子どもの気持ちや意思を受け容れたうえで声をかけた場合は、脳が戦闘モードに入るのを防ぐことができ、反発せずに自分や他人の気持ちに寄り添う柔軟性が生まれます。
肯定の言葉(「そうだったのね」「わかるよ」など)から始めるというのは、叱らずに野放しにする、子どものわがままを丸呑みするという意味ではありません。
まず、「ダメ!」と口走る前に、子どもが何をしたかったのか、何を言いたかったのかを理解し、ありのままの子どもを受け容れたうえで手を差し伸べるということです。
例えば、幼児がタンスの洋服を片っ端から引っ張り出して遊んでいるとします。
「ダメダメ!何しているの!」と否定から始める代わりに、「そっか!洋服を引っ張り出したかったのね!」とまず気持ちを肯定し、「このお洋服はこの引き出しにしまうから、終わったら一緒に片付けようね」と声掛けをしてみましょう。
結果ではなく努力やプロセスに目を向ける
褒める時の声掛けと同様、叱るときも「人中心」の批判を避けて、家庭を中心に声をかけることが重要です。人中心の批判とは、子どもの性格、能力、あるいは外見の欠点や短所を責める叱り方のことです。
一方で、過程や手法中心の声かけとは、結果に至るまでの努力ややり方に対してネガティブな評価なしに具体的にフィードバックを与えることです。
子どもは能力ややり方を否定されると、自分には力が足りないからどうせ出来ないという無力感を覚えるようになり、次は成功しようという意欲をなくしてしまいがちです。
例えば、子どもがテストで40点を取ってきたとします。
「40点しか取れないなんて、ひどいわね。頭が悪い!」と非難する代わりに、「40点だったのね。自分の目標には届かなかったみたいだね。次はどういうやり方をしたらもっと学べるようになるかな?」というような声掛けをしてあげましょう。
好ましくない行動の理由を説明する
理由を説明するというのは、ほめる時に具体的に説明するのによく似ています。子どもに、自分がとった行動が、子ども自身あるいは他者にいかに影響を与えるかというモラルに焦点を置きながら、具体的に説明することで、子どもの理解を得ようとする方法です。
罰を与える、あるいは一方的な叱り方をした場合、子どもの意識はいかに罰を逃れるかというkとに向くため、自分の誤った行動を振り返る機会がありません。
一方で具体的な理由で説明された場合、自分の行動と結果の因果関係を初めて理解するようになるほか、他者への影響を指摘することで相手を思いやる気持ちが生まれるのです。
例えば、子どもがスーパーで走り出したとします。
つい「危ない!ダメだよ!」と口走りそうですが、代わりに「走るとぶつかったりして、あなただけじゃなく、他の人もケガするかもしれないから、ここは一緒に歩こうね」というような声掛けをしてあげましょう。
親の気持ちを正直に伝える
「わたしメッセージ」とは、相手を批判したり否定したりせずに、「私」自身の気持ちを中心に、自分自身がどう感じているか、またその理由は何であるかということを伝えながらコミュニケーションをとる方法です。例えば、外出前にスムーズに支度をしてくれない子どもに対して、「朝、時間通りにお家を出られたら、私は安心するんだけどな。遅刻すると教室の邪魔になるから、次からは時間通りにお家を出られるように一緒に頑張ってみようか」というように伝えます。
親自身が自分の気持ちを正直に提示し開放することは、子どもが相手の感情を思いやるきっかけとなり、円滑な人間関係を築く力が身につくといわれています。
反対に、「あなた」という相手が中心のコミュニケーション方法は、「あなたメッセージ」といいます。
「あなたメッセージ」は人中心の批判と同じように、受け手側は「責められた」と感じやすく、攻撃的になったり、言い訳をしたりと、自己防衛の反応をとりやすくなります。
この結果、建設的な話し合いができるチャンスが減少し、人間関係もギクシャクしやすくなります。
「わたしメッセージ」の作り方
効果的な「わたしメッセージ」の4要素は次の4つです。
行動+感情+影響+提案
行動
非難や否定の言葉を使わずに、子どもの行動を客観的に描写する。
×「弟を蹴るなんてひどいね」「どうして蹴ることしかできないの!」
〇「おもちゃの取り合いになって、弟のことを蹴ったのね」
感情
正直に自分あるいは関わった人がどう感じたかを伝える。
×「うるさい!」「やめなさい!」
〇「蹴ったりするのを見ると、ママはとても悲しい気持ちになるよ」「蹴られたときに、弟が泣いて落ち込んでいたよ」
影響
なぜその行動に問題があるのかを、自分あるいは関わった人に与える影響を例に説明する。
〇「ケンカをして椅子が壊れたから、もう使えなくなって困った」「蹴られて、弟は落ち込んでずっと泣いちゃってたよ」
提案
次はどうしたら同じ出来事を回避できるかについて解決策を話し合う。
×「今度また弟のことを蹴ったら、お小遣い取り上げるからね」
〇「暴力を使わずにおもちゃを2人で使う方法をみんなで一緒に考えよう」
注意点
ネガティブな気持ちだけでなく、ポジティブな気持ちも共有してみましょう。
「わたしメッセージ」は叱るときだけでなく、ポジティブな気持ちを共有する時にも使えます。
「お皿を下げてくれて、助かったし、嬉しかったよ」など。
大人はつい子どもの「ダメ」なところに目が行きがちですが、喜びや嬉しい気持ちも積極的に共有してみることも大切です。
行動を描写する時に、「ひどい子ね」「意地悪な子ね」「言うことを全然聞かない子ね」というような批判的あるいは否定的なレッテルを子どもに貼らないようにしましょう。
また、「わたしメッセージ」と見せかけた「あなたメッセージ」を送らないようにしましょう。
例えば、「いつもあなたが宿題をやらないでダラダラしているせいで(あなたメッセージ)、ママはイライラしちゃうよ(わたしメッセージ)」は、一見「わたしメッセージ」のように見えますが、実は子どもの行動を批判する「あなたメッセージ」なのです。

子育て